
デアちゃんと氷
上野動物園のホッキョクグマ、デアちゃんは氷をそのまま齧るのではなく、プールに浮かべて少し柔らかくしてから食べていました。観察していると「自分の歯に負担をかけないように」工夫しているようにも見えて、とても賢い行動だと感じます。上野動物園では、餌にも配慮されていて果物や魚を埋め込んだ柔らかめの氷です!
海外のガイドラインでも
実は、この「硬い氷は注意」という点は海外の飼育マニュアルにも記されています。
- AZA Polar Bear (Ursus maritimus) Care Manual, 2012(北米動物園水族館協会)
「硬い餌(特に骨や大きな氷)は歯の破損リスクがあるため、与え方を工夫すること」
氷を enrichment(行動の多様化のための環境刺激)として利用する際には、果物や魚を埋め込んだ“柔らかめの氷”、砕いた氷や雪のような形状が推奨されています。 - EAZA Polar Bear Guidelines, 2014(欧州動物園水族館協会)
「歯の摩耗や破折は寿命に直結するため、硬い氷や骨を過剰に咬ませないよう注意」
氷や雪そのものは enrichment として有効ですが、形状や硬さに配慮することが求められています。
デアちゃんの賢さ
こうした国際的な知見と照らし合わせても、デアちゃんが氷を柔らかくして食べる行動は「歯を大切にするための自然な工夫」だったのかもしれません。
16歳を迎えたデアちゃんにとって、健康で長く暮らしていくために歯や顎のケアはとても大切な要素です。
氷ひとつ取っても、動物たちの健康や福祉につながっているのだと感じられます。
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